デッキに立ってぼーっと車窓を眺めていると,となりのコンパートメントにいた東南アジア系の青年が声をかけてくれた。
「どっからきたの?」
「日本だよ」
「僕はマレーシアさ」
「マレーシア? ふうん 去年ティオマン島にいったよ、きれいな所で良かったよ。また行きたいよ。」
「ありがとう。ポルトガルは初めて?」
「う〜ん、3回目なんだ」
「そうか、好きなんだね。」
「うん、たぶん。でも前に来たのは8年まえだからもうずいぶん変わっているだろうな・・・」
海沿いの海洋博会場を見送ると、列車はリスボンの町並みをすり抜けるようにしてサンタアポローニャ駅へ入る。
やっぱり、心なしか町が少しきれいになったような気がする。
よく考えてみれば、今日は1998年1月1日。年越しをこのクシェットで過ごしたことになる。