私は少々鼻息を荒くしてエ−ジェンシの扉を開け左右の客の視線を浴びながら店の奥の店長らしき男の机の前にに向かいます。 事情を説明された店長は一瞬戸惑った様子でしたが、すぐに大声で笑い近くにいるバックパッカ−に何事かしゃべりました。そのバックパッカ−も笑いました。
「心配することはない。月の変わりめでちょっと間違えただけだ。問題ない。」
と私を宥めてくれました。彼は大きな体をした50歳前後の包容力のありそうな人で詐欺とかインチキなどの言葉には無縁の人のように見えます。(実際彼は退役軍人で、昔はこの地方の軍隊を一手に指揮する地位にいたそうです)。それでも私は猜疑心を拭い切れず、日付の書き換えをお願いしました。彼は丁重に書き換えてくれました。少し安心しました。そして、夕方のサンセットツア−に君と友人(妻の事)を特別に連れていってくれると言いました。それでも私は疑い深くそれはいくらの追加料金がかかるのかなどと聞いてしまい、相手をあきれさせてしまいました。
彼は私が日本人だと知ると、甥が東京の大使館にいるので是非会いに行ってくれとツア−のパンフレットに大きく名前を書いて私にくれました。
ちょっと心配しすぎたようです。
お調子者だとはいえエルデンがいなければ今日はどこにも行けなかっんだし、半日ツア−の料金はタクシ−をガイド込みでチャ−タ−した場合の公定料金と同じだし、ガイドをめざしているエルデンだったらタクシ−の運ちゃんよりもいいのかな、と思ったり。夕食を一緒に取るのを断ったことが少し申しわけなく思えたりもしてきた。そんな事を考えながらホテルに戻りました。
ツアーリーダー(左)とフランス人の親子。かわいい女の子でした。