バスは、コンビナートの明かりが煌々と輝く工場地帯の中を走ります。速くもなく遅くもなく以外にも堅実な走りです。所々ドライブインで休憩します。なかなか寝付けない私は泊まるごとにお茶を飲みに外に出ます。ある時、後ろの席のおじさんにお茶をおごってもらいました。大変親切な人なのですが妻にとってはよくなかったようです。と言うのも寝てるといすの間から手を出してきてさわろうとするらしいのです。そのたびに地球の歩き方を丸めてぐいぐい押し戻していたとか・・・。そんなこと露とも知らない私は・・・ ”トルコの人はみんな親切だなあ・・・”
明け方、荒野の中のドライブインにとまりました。きれいな朝焼け・・・と思って外に飛び出すと、ものすごく寒い! カーデガン着てジャンパー着て、それでもガタガタ。夏だというのに・・・。
日がのぼってもバスはなおも荒野をひた走ります。見渡す限りの原っぱと所々に灌木、遠くに岩山。いったい人はどこに住んでいるんだろう?
しばらくすると、岩山がだんだん近づいてきました。近づいてわかった事はただの岩山だと思っていたのは実は住居でした。
バスの乗客もにわかにあわただしくなります。要所でちょこちょこととまり、人と荷物をどんどんおろしていきます。ついに後ろのおじさんも降りてしまいました。もう乗客は10人くらいしかいません。やがて、ちょっとした町に入り、そこのバスターミナルでみんな降りてしまいました。終点まで来てしまったようです。ターミナルの看板を見上げると”NIGDE”の5文字。
あれ、寝過ごしたか?いやいやそれらしいところにはとまらなかったぞ。それとも乗るバスを間違えた?